隣接自治体の動向調査

📝的に書いておく。

対象:広島市

言わずと知れた政令指定都市広島市である。

私見

出身地ではあるが、子育てを機に廿日市市に引っ越したので今は広島市民ではない。個人的な感想としては、何もかもが中途半端で生ぬるい面白くない都市である。

DX周り

  • 電通と確かDXに関する包括連携協定を結んでいたはず
  • 今年の9月あたりに寒いPR動画を作っていた
  • なぜか会計監査法人がPMOやらDX推進計画策定支援業務の事業者に選定された
  • オープンデータはかなり前から市のHPで公表している
  • 今年の12月末から広島広域都市圏のオープンデータポータルが公開された(廿日市市も含む)
  • 今年の12月末からDX推進計画素案が公表されパブリックコメントの募集が行われている

広島市 デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画(素案)(令和4年度~令和7年度)

リンク

www.city.hiroshima.lg.jp

レビュー

構成に関して

1章の計画趣旨、2章の基本理念、3章の施策、4章の体制という構成となる。

第4章 計画を推進する体制・環境の整備

まず推進体制だが、「広島市DX推進会議」を設置するとある。この計画素案では情報が不足しているので広島市デジタル化推進支援業務の発注仕様書を参考にする*1

広島市DX推進計画の策定、進行管理及び広島市DX推進会議の運営支援

ア 業務内容

広島市が令和3年度に策定する「広島市DX推進計画(仮称)」(以下、「本計画」という。) の策定並びに策定後の進行管理に関して以下の支援を行う。

(ア) 国・県・他自治体におけるICT利活用の動向調査業務

(イ) 情報技術(IoT、ビッグデータ、AI等)を取り巻く状況についての動向調査業務

(ウ) デジタル化の推進に関する情報提供及び提案

(エ) 本計画を活用し、DXを効果的に進めることができる体制づくりの提案

(オ) 広島市DX推進会議の運営、本計画策定及び進行管理を円滑に行うために必要な支援業務

(カ) その他、本市が必要と判断する支援業務

イ 実施に当たっての要件

(ア) 業務の実施に当たっては、国が公開している「市町村官民データ活用推進計画策定の手引」 (令和元年10月改訂)や国・広島県・他自治体等の動向や本計画と同種の計画の策定状況 を確認し、特定の視点等に偏らないよう十分に注意すること。

(イ) 本計画の策定及び進行管理のために関係部署に対して行うヒアリングに必要に応じて同席 すること。

(ウ) 進行管理の支援に当たっては、必要に応じて本計画の見直し等の提案も行うこと。

広島市DX推進会議は、副市長、各局長、区長で構成される*2。 発注仕様書にもある通り、主たる任務はPMOと調査、調整業務が主の模様で、実働は各ベンダーに受発注事業として切り出すものと思われる。

第1章 計画の趣旨

背景と趣旨の項である、デジタル技術の活用→情報の収集→情報の分析→行政サービスの改善提供が本計画全体で繰り返し出てくるので、本計画の背骨には言及はないがEBPMがある。国のデジタル計画、施策の考慮が2020年12月で止まっておりその後の変化に追従できていない。本計画は官民データ活用推進基本法に準拠した市町村官民データ活用推進計画としての位置づけである。計画対象期間は2022年度(R.4)から2025年度(R.7)までである。

第2章 基本理念

何というか、一番意味が分からない所である。計画案の原文を引用する。

持続可能なまちづくりを進めていくためには、デジタル技術を用いて得られた情報を分析、共有し、組み替えて活用することにより、行政を始めとする様々な分野において新たな価値を創造していくことが重要です。

ピントがずれているというか初手がそもそもまずくて、デジタル技術を使うことが先に来てしまっている、かつ情報が集まり分析しさえすれば価値が出るものと思考している。重要なのは価値提供対象であるユーザー、つまり住民、市民が起点、始点、支点でないと価値など出せるわけがない。技術先行で価値など出るわけがない。ゴミデータをいくら集めて分析したところで価値は出ない。初手からダメなDX戦略である(典型的なポンコツ案)。施策体系にもユーザー不在、住民不在は現れていて、取り組みの大枠として行政のデジタル化と地域のデジタル化を掲げるものの施策案にことごとくWHYの部分、目的がない。ビジョンがない、ミッションもない。あるのはHOWのみと言う。「匠のまち」の実現というキャッチフレーズがホントにまずい。テクニカル、技巧の追及、先行では価値は出ない(このキャッチフレーズ考えるのにいい大人が何人も何時間も会議してるの想像すると激しく萎える)。

第3章 具体的な取組

あまりに凡庸で個別具体も薄い、冴えない企画が多いのでいちいちコメントしないが、(2)地域のデジタル化(デジタルシティ)の推進に関しては技術課題よりもまず広島市域内の地域コミュニティの惨状に広島市として向き合わないことにはデジタル化もへったくれもない*3

総評

広島市民やめて正解だったわと思える、ポンコツな計画案でした。

*1:https://www.city.hiroshima.lg.jp/uploaded/life/146775_174021_misc.pdf

*2:広島市は市域が広く、佐伯区、安佐南区安佐北区、安芸区、西区、東区、中区、南区の8区が置かれている。対象となる局は企画総務局、財政局、市民局、健康福祉局、こども未来局、環境局、経済観光局、都市整備局、道路交通局、下水道局、消防局、水道局、議会事務局、監査事務局なお、教育委員会や危機管理室等が含まれるかは不明

*3:広島市 地域コミュニティ活性化ビジョン」に関しての取組調査が別件で進んでいる。 www.city.hiroshima.lg.jp