平成令嬢

いわゆる悪役令嬢ものに擬態した異質な何か…。 舞台は色々と違うけれど、世紀末の日本になる。現実と同じく冷戦終結後のあれやこれやで世界は荒れ模様、日本はバブルの崩壊に苦しんでいる。 あくまで悪役令嬢的なろう小説は体裁にすぎず、話の筋としては「新自由主義」という悪霊(というより亡霊か…)をどうにかできないか、札束を片手に平成のご令嬢と愉快な仲間たちが戦うお話

第一巻は第18回参議委員選挙(1998年)までになる。冒頭で、2008年の描写があるので残りの巻は差分10年分のお話になる。主人公はこの時点で7歳か8歳の小学生なので、2008年には18歳か…。 Web版でも2008年時点まで話は進んでいないので続きが気になる。 初めてなろう系と呼ばれる小説を買って読んだのだけど、やっぱり小説は縦書きのほうが読みやすいと感じた。あと、小説はブラウザで読むもんじゃないなともUXがクソ過ぎる(本職の感想)。

ネタばれにならない程度に第一巻の感想を書くと(我々の知る歴史と近似する部分はネタバレにはならんよな…)、平成って歴史になりつつあるよなーである。一言で書くとほんとそれ、それに尽きる。 異世界転生と言いつつ、半分タイムスリップものなので、読者同様に今を知る主人公が時代の流れという修正力の前にどう健気に立ち向かうのかが話の大筋を規定している。魔法もなければ超兵器もない(今のところ)、札束と情報で殴り合ってる。いやはや、資本主義の豚どもに 比べればゴブリンなんぞ可愛い、可愛い。まぁ、ただ現代のソフトウェア工学金融工学は素人からしたら魔法なので、ある意味において主人公は未来知識含めの主人公補正が入った魔法使いな気もしてくる。とは言え、こう改めて考えると、本邦は金融周りで負け、ソフトウェア周りでも負けと負け続けてきたのだなと、なんか悲しくなってくる。 第一巻はあくまで序章なので(と言いつつ拓銀買い取ったり色々してるけど)、本番はライオン宰相とお付きの人形遣い(最近また表舞台に出てきたよねー)との立ち合いを経てどう2008年のD-Dayに至るかなのでそれを楽しみにしつつ続巻を待つ。

あと、どうでもよいけど、「征途」を読み直したくなった。

征途 愛蔵版

征途 愛蔵版