国土形成計画(全国計画)中間とりまとめ

www.mlit.go.jp

読んでいき気になった箇所を適宜メモする。

中間的なとりまとめとはいえ、新たな計画の基軸である、全ての課題解決のために共通して取り入れるべき令和版の原理を示し、その上で、特に重点的に取り組むべき分野とその方向性を一定の結論として示したものである。

はじめに

📝「新しい資本主義」>新たな官民連携によって社会的課題を解決していく

📝デジタル田園都市国家構想>全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指す

本中間とりまとめは、国土の課題を解決するため、官民共創、デジタルの発想など共通して取り入れるべき課題解決の原理によって、将来にわたり暮らし続けることができる地方を実現することなど、特に重点的に取り組む分野とその方向を示すもの

第1章 国土形成計画の意義

📝国土計画に求められているもの、いわば設計思想が大きく変わった>人々の活動分野の政策に力点を置くことが期待される

📝全国様々な地域で人々が安心して暮らし続けることができるための令和版の道筋

計画の総合性と長期性

様々な主体が国土づくりを展開していくための総合的かつ長期的な道しるべとなる国土形成計画は、現代でも未来を担う次世代に国土づくりのメッセージを伝えるものとして意義は変わらない。

社会の変化は著しく、不確実姿勢も高まっており、国民の価値観の多様化と相まって、将来像を見通すことが難しくなっている。このため、課題によっては政策の正しい方向性を見出すことが困難な場合も想定される。したがって、現代では、このような課題があることも含め、国民の間で課題の共有と議論の情勢を図ることにも重要な意義がある。

人々の活動分野の政策の重視

国土形成計画は、「国土」という空間と、その空間で行われる「人々の活動」に着目して国土づくりを行うものである。

平成を経てモノは量的にはある程度充足したことから、全国総合開発計画に代わって策定されることとなった国土形成計画では、徐々に人々の活動分野の政策に注力することになってきた。その後、令和になり、国民の価値観やライフスタイルの多様化が一段と進む中、行政や事業者に求められるサービスの質と内容はこれまでになく多様化しており、人々の活動分野の政策に注力する必要性は一層高まっている。

国民の価値観やライフスタイルの多様化が進んでいる令和の時代の国土形成計画は、相対的に、モノの整備の側面よりも、地域交通・医療・福祉・関係人口・女性活躍など「人々の活動」に係る分野の政策を重視することに意義がある。

暮らし続けられる国土の実現

人にとって真に豊かな生活は、人それぞれの価値観やライフスタイルに応じて、様々な暮らし方や働き方を自由に選択し、それを実現できることで得られる。都市であれ地方であれ、国民が様々な場所で多様な暮らし方や働き方ができることは、人と地域の多様性を生み出し、社会に活力を創出する。これは国民一人一人が豊かで生き生きと暮らせる社会の構築につながり、個人と社会全体のWell-beingの向上をもたらすものである。このような国土の有効活用、社会の活力創出、国民の自己実現の観点から、多彩な歴史、文化、自然、気候等と多様な人々から成り立つ個性あふれる地域が全国で形成されるよう、国は政策を展開する必要がある。このため、国土形成計画は、全国の様々な地域で人々が安心して暮らし続けることができる持続可能な国土の実現に向けた道筋を示すことに意義がある。

第2章 国土の課題

📝課題を整理し、新たな国土形成計画が目指すべき基本方向を議論するための前提として認識共有する

📝社会の課題

  1. 人口減少・少子高齢化

  2. 巨大災害の発生

  3. 気候変動

📝国土の課題

  1. 東京一極集中の是正

  2. 地方の暮らしに不可欠な諸機能の確保

  3. 国際競争力の向上

  4. エネルギーと食料の安定供給

第3章 共通して取り入れるべき課題解決の原理

📝新たな発想による令和版の解決の原理

  1. 民の力を最大限発揮する官民共

  2. デジタルの徹底活用

  3. 生活者・事業者の利便の最適化

  4. 分野の垣根を超えること(いわゆる横串の発想)

これら4つの原理は、それぞれを独立して取り入れてゆける性質のものではない。お互いが結びついており、1つの原理を取り入れるには、他の原理を取り入れることが必然的に必要になってくる。

民の力を最大限発揮する官民共

現在の国民の多様化する価値観に即してスピーディーに対応するためには、行政中心の取組には限界がある。

📝具体 - 官民の多様なステークホルダーが連携・協働 - 小学校区程度の生活エリアでの取組からより広いエリアでの取組 - 二地域居住者等を含む関係人口の拡大・深化 - 女性の活躍

多様なステークホルダーに対し、国土づくりへの関心と意識を高めていくことが重要である。

多様なステークホルダーに参加してもらうためには、社会課題の解決に貢献する企業などの民間に資金や人が集まるよう、事業や活動のリスク・リターンに加えて社会課題の解決への効果を測定できるようにして、資本主義におけるもう一つの評価尺度としていく必要もある。

デジタルの徹底活用

省略

生活者・事業者の利便の最適化

地域課題へのこれまでの対応は、ともすれば行政界にとらわれてしまうなど、行政目線になりがちであったことは否めない。また、国民の価値観やライフスタイルはますます多様化し、それに伴い行政・事業者に求められるサービスの質や内容も多様化し、パーソナライズやカスタマイズを含むサービスの高度化を求められている。このため、国民一人一人が豊かに生き生きと暮らせる社会の構築、個人と社会全体のWell-beingの増大等の観点から、住民の行動範囲・生活パターンや事業活動の実態などを十分考慮して、地域の生活者・事業者の利便にとって最適化という、いわば生活者目線によって、地域課題の解決に当たる必要がある。

分野の垣根を超えること(いわゆる横串の発想)

省略

第4章 重点的に取り組む分野

📝特に重点的に取り組む分野

  1. 地域の関係者がデジタルを活用して自らデザインする新たな生活圏として、「地域生活圏」を構築し、実現すること

  2. スーパー・メガリージョンのアップデート

  3. カーボンニュートラルに対応するための産業の構造転換

  4. 地域課題に対応した適正な国土の利用・管理の確保

第5章 重点化する方向

📝上記(4章)4分野の課題整理と対応の方向性ならびに残課題の整理

地域生活圏の実現

地方で人々が安心して暮らし続けていくためには、日々の生活に必要な医療・福祉、交通、教育や、所得を得るために必要な産業、日常に潤いを与える文化などの様々な機能を享受できる必要がある。

デジタル技術が高度化し、我々の生活に溶け込んでいる現在では、デジタルの発想で地域課題を解決していく官民共創の取組を進めることによって、人口が少ない地域でも諸機能を維持することができ、結果として人々は自分が住みたい地域で健康で文化的な生活を維持し続けることができるようになると考えられる。いうまでもなく我が国の国土は、地域ごとに様々な特性を有し、また、その地域ごとに固有の課題を抱えている。したがって、上述のような取組は、地域ごとに、行政と生活者・事業者が一緒になって、その実情に応じ独自に考え、行動して取り組んでいかなければならない。

新たな国土形成計画では、このような取組を通じて構築する、人々が安心して暮らし続けることができる圏域の姿を、「地域生活圏」と名付ける。言い換えれば、地域の関係者がデジタルを活用して自らデザインする新たな生活圏が「地域生活圏」である。地域生活圏の実現により、全国の様々な地域で人々が安心して暮らし続けられるようになり、個人と社会全体のWell-beingの向上や、SDGsが掲げる持続可能な社会の実現に繋がっていく。

この地域生活圏の実現は、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指すデジタル田園都市国家構想を実現する国土づくりにおいて重要である。

地域生活圏の実現のためにどのような取組が必要か、つまりその取組に当たって必ず備えるべき要素は何か、ということとして、第3章で述べた原理である、①官民共創、②デジタルの徹底活用、③生活者・事業者の利便の最適化、④横串の発想、の4つを掲げる。

生活者・事業者の利便の最適化という視点からは、生活者や事業者の活動実態に即し、市町村界にとらわれる必要はないということである。市町村合併は念頭にない。また、これまで提唱されてきたような圏域構想とは発想を異にするものである。

諸機能を経営的に確保するためには一定の人口規模が必要として、例えば、以前は、諸機能をリアルにフルセットで提供することを前提として、例えば30万人前後という人口規模が目標的に議論されたこともあった。しかしながら、地域生活圏については、人口規模を目標や要件とすることはない。取組の参考となる1つの目安としては、デジタル活用や人々の行動範囲の広域化などを考慮すると、10万人前後という人口規模が考えられる。重要なのは上述の4つの原理を最もうまく取り入れることであり、あくまで地域ごとに地域がその実情に応じて主体的に取組の規模を考えるものである。

地域にとって必要な諸機能は、地域ごとに多様な特性と固有の課題を有するため、地域によって様々であるが、一般的には以下の通り整理できる。①医療・福祉、交通、教育など日々の生活に必要な機能、②生活のための所得を確保するため必要な産業機能、③自然環境、文化芸術、教養など日常に潤いを与える文化的な生活に必要な機能、の3つであり、これらを将来にわたり維持・向上しなければならない。また、上記を支える要素として、地域防災やデジタル基盤、交通インフラ等を確保する必要がある。

残課題

地域生活圏の具体的な姿について、地域が容易にイメージを抱き実効的に取組を進めていけるよう検討を深める。その上で、地域生活圏を実現するための制度的仕組みを、「デジタル田園都市国家構想」との整理を(同構想の「地域ビジョン」との関係などを含めて)行いつつ検討する。

民間の柔軟な発想をとりいれた迅速かつ効率的な意思決定を行い、地域に不可欠なサービスを統合して提供する地域生活圏の実現に向けた推進主体(いわゆるローカルマネジメント法人など)の仕組みについて、ベネフィットコーポレーション等も参考に、地域運営組織などとの連携も含めて検討する。

終わりに

📝残課題が記載されている。