廿日市市福祉政策調査📝

廿日市市保健福祉審議会

廿日市市保健福祉審議会条例により設置される。なお同条例は地方自治法第138条の4第3項の規定に基づいている*1。要するに法定の審議会である。

審議会名簿(R3~)抜粋(所属)

所属等 📝
廿日市市民生委員児童委員協議会 福祉
児童福祉経験者(保育園長経験者) 福祉
健康はつかいち21推進協議会 医療
佐伯歯科医師廿日市市 医療
障がい者福祉施設友和の里 福祉
精神保健専門医 医療
地域密着型介護老人福祉施設みやしろ 福祉
社会福祉法人洗心会 福祉
廿日市市介護支援専門員連絡協議会 福祉
日本赤十字広島看護大学 医療
社会福祉法人廿日市市社会福祉協議会 福祉
特定非営利活動法人廿日市市五師士会 医療・福祉
佐伯地区医師会 医療
社会福祉法人さくら福祉会 福祉
広島県薬剤師会廿日市市 医療

面子を見たらわかるように「保健福祉」審議会を名乗っているが実質的には「社会保障」審議会といった感じ。

専門部会

「地域共生専門部会」他4つの専門部会は調整中でありワークしていないため今調査では割愛する。

  1. 地域共生専門部会

  2. 障がい福祉専門部会

  3. 児童福祉専門部会

  4. 高齢福祉専門部会

  5. 健康増進専門部会

廿日市市保健福祉審議会地域共生専門部会

  • 廿日市市保健福祉審議会条例第7条に基づく
    • 廿日市市保健福祉審議会専門部会設置要綱第2条に基づく
      • 廿日市市保健福祉審議会地域共生専門部会運営規程第2条に基づく

地域共生社会の実現に関する事項の調査研究

  1. 地域共生社会の実現に関連する計画の策定及び推進のための方策の検討

  2. 計画の評価、見直し

  3. 地域包括ケアシステムの総合的な整備

  4. 多様な機関の連携強化と地域のネットワーク構築

  5. 地域課題の検討及び対応

地域共生専門部会名簿(R3~)抜粋(所属)

所属等 📝
廿日市市介護支援専門員連絡協議会 福祉
河口社会福祉事務所 福祉
社会福祉法人くさのみ福祉会 福祉
廿日市市民生委員児童委員協議会 福祉
廿日市地区まちづくり協議会 他(地域)
県立広島大学 他(学識者》福祉)
社会福祉法人光の園 福祉
廿日市市国際交流協会
広島弁護士会 他(学識者?成年後見関連?》福祉)
児童養護施設丸石こどもの家 福祉
廿日市市障がい福祉センターきらりあ 福祉
特定非営利法人ほっと吉和 福祉
特定非営利法人廿日市市五師士会 医療・福祉
廿日市商工会議所
家族介護者の会「リフレッシュクラブ」 他 (当事者会》福祉)

医療色が薄まる。先ほどの審議会がお堅い、偉い人の集まり感があったがこちらは現場感が強い。

第3期廿日市市地域福祉計画

大枠を規定している計画案なので仔細を見ていく…

専門部会

第1回(2021-05-24)

第2回(2021-10-20)

第3回(2022-03-07)

通算第4回(2022-06-27)

令和4年度地域共生社会推進施策

  1. 包括的な支援(重層的支援体制整備事業)の具体的実施に向けた体制づくり

    • 専門職を中心とした相談支援の機能発揮
    • 地域に身近な相談場所づくりと支援者(民生委員児童委員など)との役割共有
  2. 地域自治組織を中心とした多様な主体による見守り・支え合いネットワーク(協議体)づくり

    • 協議体と地域ケア会議の役割分担及び専門職のかかわり方の整理
    • 第3期計画の啓発と多様な主体が参加できる協議体づくりの推進
    • 避難行動要支援者の視点を盛り込んだ地域の避難訓練の実施に係る支援
  3. 地域における多様な社会資源の可視化及び開発

    • 「地域福祉カルテ」の再考
    • 参加支援事業(重層的支援体制整備事業)の本格実施(社会資源開発・拡充)
  4. 地域共生専門部会と第1層協議体の機能整理

    • 第2層、第3層協議体の課題整理及び共有
    • 地域共生専門部会による政策提言機能の発揮

協議体?

  • 廿日市市高齢者福祉計画・第7期廿日市市介護保険事業計画
  • 地域ケア会議推進事業:地域共生専門部報 > 地域ケア会議 > 個別ケア会議
  • 生活支援体制整備事業:第1層協議体 > 第2層協議体 > 第3層協議体
  • 地域包括支援センター廿日市東部、中部、西部、佐伯、吉和、大野、宮島

令和4年度開始時点での協議体設置状況

第2層協議体

合併前の基礎的自治体単位で地域設定がされている(旧廿日市市、旧佐伯町、旧吉和村、旧大野町、旧宮島町)。行政側がSCと略記するわかりにくい「生活支援コーディネーター」が専門職として稼働している。

対象地域 設置状況 報告📝
廿日市 11地区の任意の福祉関係者をメンバーとして「ささえあいのまちづくり情報交換会」を第2層協議体準備会として開催 》 担当者が各地区(小学校区?)に対して調査実施中
佐伯 社協、行政、包括、市民センターで「佐伯地域づくり戦略会議」を開催 》検討協議中
吉和 既存の「生涯暮らし続けられる吉和地域をつくる会」を第2層協議体と位置づけ
大野 既存の「大野福祉推進委員会」を第2層協議体と位置づけ
宮島 既存の「宮島地域コミュニティ推進協議会」を第2層協議体と位置づけ

第3層協議体

行政が規定する地域自治組織単位で地域設定されている。*2

データ典拠

  • 地域自治組織名称: まちづくり交付金対象リスト

  • 活動区域丁目: 地区別福祉カルテ区域図対象リスト>これ単位町内会?の可能性が高い後で別で丁目(国勢調査の区分に準拠で直す)

地域自治組織名称 活動区域丁目 活動区域文教施設 協議体設置状況 報告📝
佐方アイラブ自治 佐方上, 佐方中, 城内三丁目, 佐方一丁目西, 佐方三丁目西, 佐方四丁目西, 佐方三丁目北, 佐方本町北, 佐方本町南, 山陽園, 月見台, 佐方二丁目東, 佐方一丁目東, 佐方四丁目南, 佐方四丁目東, 佐方二丁目中, 佐方一丁目南, 佐方一丁目北, 佐方三丁目南, 佐方二丁目北, 城内二丁目, 佐方四丁目北, エーデル佐方, 佐方二丁目南, 佐方小学校, 佐方市民センター, 佐方会館 佐方アイラブ自治会住民福祉事業局へ協議体設置を働きかける予定
廿日市地区まちづくり協議会 後で追加 廿日市小学校, 中央市民センター 「まち協福祉の会」の活動
平良地区コミュニティ 後で追加 平良小学校, 平良市民センター 「福祉部」の活動
原地区コミュニティ推進協議会 後で追加 原小学校, 原市民センター 後で追加
宮内地区コミュニティづくり協議会 後で追加 宮内小学校, 宮内市民センター 後で追加
串戸地区自治協議会 後で追加 金剛寺小学校, 串戸市民センター 後で追加
地御前地区自治協議会 後で追加 地御前小学校, 地御前市民センター 後で追加
阿品地区コミュニティをすすめる会 後で追加 阿品台西小学校, 阿品市民センター 後で追加
阿品台コミュ二ティ 後で追加 阿品台東小学校, 阿品台市民センター 後で追加
宮園地区コミュニティ協議会 後で追加 宮園小学校, 宮園市民センター 後で追加
四季が丘地区コミュニティづくり協議会 後で追加 四季が丘小学校, 四季が丘市民センター 後で追加
玖島地区コミュニティ推進協議会 後で追加 玖島市民センター, 玖島花咲く館(旧玖島小学校) 後で追加
友和地区コミュニティ推進協議会 後で追加 友和小学校, 友和市民センター 後で追加
津田・四和ふれないまちづくりの会 後で追加 津田小学校, 津田市民センター 後で追加
浅原の未来を創る会 後で追加 浅原市民センター, 浅原交流会館(旧浅原小学校) 後で追加
コミュニティよしわ 後で追加 吉和小学校, 吉和市民センター 後で追加
大野第1区 後で追加 大野東小学校, 大野東市民センター 後で追加
大野第2区 後で追加 大野東小学校, 大野東市民センター 後で追加
大野第3区 後で追加 大野東小学校, 大野東市民センター 後で追加
大野第4区 後で追加 大野東小学校, 大野東市民センター 後で追加
大野第5区 後で追加 大野西小学校, 大野西市民センター 後で追加
大野第6区 後で追加 大野西小学校, 大野西市民センター 後で追加
大野第7区 後で追加 大野西小学校, 大野西市民センター 後で追加
大野第8区 後で追加 大野西小学校, 大野西市民センター 後で追加
大野第9区 後で追加 大野西小学校, 大野西市民センター 後で追加
大野第10区 後で追加 大野西小学校, 大野西市民センター 後で追加
大野第11区 後で追加 大野西小学校, 大野西市民センター 後で追加
宮島地域コミュニティ推進協議会 後で追加 宮島小学校, 宮島まちづくり交流センター, 宮島まちづくり交流センター杉之浦 ?

調査📝(想定読者はソフトウェア開発者)

色んな用語が飛び交っており、AをXと呼んでみたりYと呼んでみたりと中の人たちはよく理解できるなと感心する(嫌味である)。ここでの調査では原則として法令で規定されたものを正とする。施策に対して国と市とで呼称が異なる場合は市の呼称を優先して用いる。

2018年の改正社会福祉法の条文が根拠となる。国においては「重層的支援体制整備事業」と呼称するが廿日市市においては「包括的な支援体制の構築」と呼称する。

廿日市市の包括的支援体制構築事業の概要

大枠で下記の事業で構築される(エンジニア向けに説明すると以下の単位でデプロイ可能でありかつ相互に通信可能なプロダクトとして設計する必要があると言えば理解されるはず)。

  • 包括的相談支援事業
  • アウトリーチ事業
  • 多機関協働事業
  • 参加支援事業
  • 地域づくり事業

同事業のポイント

実装時に飛ばすと齟齬が起こるような基本ラインと思っていただければ(エンジニア向け)…

  • 実施主体:基礎的な地方公共団体(市町村)》 実施義務は市長以下の執行部にまずある、監査は地方議会が当然担う
  • 事業コンセプト:断らず受け止め、つながり続ける支援体制を構築する 》いままでそもそもがそうじゃなかったんですね、とは素朴な1市民の感想
  • 事業のコアバリュー(絶対的に落としてはならないものPdMの判断基準の元になる):属性を問わない相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援の3つ 》以下に示すように法令で1号から3号までマストで規定されてる。極論で執行部が行政事務で落としてる項目があると瑕疵を問われるもの。

包括的相談支援事業(Must)

  • 規定法令:社会福祉法第106条の4第2項第1号
  • 機能要求的なもの
    • 属性や世代を問わず包括的に相談を受け止める
    • 支援機関のネットワークで対応する
    • 複雑化・複合化した課題については適切に多機関協働事業につなぐ

参加支援事業(Must)

  • 規定法令:社会福祉法第106条の4第2項第2号
  • 機能要求的なもの
    • 社会とのつがりを作るための支援を行う
    • 利用者のニーズを踏まえた丁寧なマッチングやメニューをつくる
    • 本人への定着支援と受け入れ先の支援を行う

地域づくり事業(Must)

  • 規定法令:社会福祉法第106条の4第2項第3号
  • 機能要求的なもの
    • 世代や属性を超えて交流できる場や居場所を整備する
    • 交流・参加・学びの機会を生み出すために個別の活動や人をコーディネートする
    • 地域のプラットフォームの形成や地域における活動の活性化を図る

アウトリーチ等を通じた継続的支援事業(Should)

  • 規定法令:社会福祉法第106条の4第2項第4号
  • 機能要求的なもの
    • 支援が届いていない人に支援を届ける
    • 会議や関係機関とのネットワークの中から潜在的な相談者を見付ける
    • 本人との信頼関係の構築に向けた支援に力点を置く

多機関協働事業(Should)

  • 規定法令:社会福祉法第106条の4第2項第5号
  • 機能要求的なもの
    • 市町村全体で包括的な相談支援体制を構築する
    • 重層的支援体制整備事業の中核を担う役割を果たす
    • 支援関係機関の役割分担を図る

同事業の実装思想

ソフトウェア開発者なら自分が使うフレームワークや言語などベースとなる技術の設計思想的なのを考慮すると思います(日常的に)。同じ要領で厚生労働省が「重層的支援体制整備事業」という政策フレームワークをどういう設計思想で実装したのか確認しておきましょう(正直、若干綺麗ごと感があって、書いてないけどCPU使用率の削減じゃなかった公共の福祉リソースを削減できます!!!ってどっかに書いとくべきだろて思うけどそこはまぁそれ)。

実装背景:ペインポイント

社会福祉法の改正により、重層的支援体制整備事業が創設されました。この事業の創設は、これまでの福祉制度・政策と、人びとの生活そのものや生活を送る中で直面する困難・生きづらさの多様性・複雑性から表れる支援ニーズとの間にギャップが生じてきたことを背景としています。

日本社会を特徴づけていた社会のあり方が変わり、それに伴って国民生活も変化する中で、様々な支援ニーズとして表れてきています。そして、これまでの福祉政策が整備してきた、子ども・障がい者・高齢者・生活困窮者といった対象者ごとの支援体制だけでは、人びとが持つ様々なニーズへの対応が困難になっています。

なんと言うか国としてはやれることやったけど無理でしたと言うんだけど、ほんまにそうなんか?という感じもあるけど。まぁそうなんだろう。今更過去のこと言っても仕方がないし。

フレームワークの大切にしている視点

  • すべての人々のための仕組みとすること
    • 専門職による対人支援において、生きづらさの背景が明らかでない場合なども含め、すべての人びとを対象に、本人と支援者が継続的に関わるための相談支援を重視する
    • 住民同士が気にかけあう関係性を育むための「地域づくりへの支援」を重視し、支援者による相談支援と両輪で地域のセーフティネットを充実する
    • 一人のニーズを基に様々な関係者に働きかけ、本人にとって必要な資源を生み出していく「参加支援」を新たに設ける

これ仮に上記をビジネスサイドがプロダクト開発したいとか持ってきたらまず「生きづらさ」ってなんだよ、ちゃんと言語化して説明しろやからスタートだよな。よくもまあこんなフワっとした文言平気で公開できるよね。あと、専門職の専門性が未定義過ぎて、全然まったく「専門」ではない。政策立案者は人生に悩みすぎてなんかよくわからんくなったんかな。もうどう逆立ちしても無理なもんは無理って言うのも大事なことだと思うんだが。

  • 実践において創意工夫がうまれやすい環境を整えること
    • 地方交付金の話(割愛)
    • 事業実施の類型を拡張(割愛)

国と地方のお金の話になる。開発者的には知らんがな的な話ではあるんですが、実装におけるとれる選択肢が増える感じになります。大人の事情でそれは実装できませんはだいぶなくなった模様。

  • これまで培ってきた専門性や政策資源を活かすこと

これエンジニア諸賢に聞きたいんだけど、新しく出てきたフレームワーク等の技術で既存のコードベースが活かせますとか既存の技術知見や経験が生かせます的なこというもので事実そうだったものってそんなにないですよね。同じ香りしかしてこないです。

大事な点は下記…

  • 全ての市町村が実施する必須事業ではない、任意事業です(これ言ったからにはやれよだし、自分から行ってこない奴は知らないという意図と解するけど)
  • 既存のものとは別の新しい相談支援機関や、地域の拠点を設けることが目的ではない(箱もの整備やなんか部署編して名刺を新しくするだけじゃだめよとのこと)
  • 事業実施主体である市町村と、地域住民や地域の支援関係機関等が、自分たちの市町村にあってほしい支援体制や、そのための各機関の役割分担と協働のあり方などについて、考え方や進め方などを共有しながら議論をし、実際の取組に移していくプロセスを丁寧に行って欲しいし、それが最も大切

この状況の中でやりたいこと・やれることは?

まず廿日市市は上記の任意事業を実施している。それを前提として、自分としてはデジタルちょっとわかる×地域活動してるが手持ちのリソースなので「地域づくり事業」において価値の出せるプロダクトを作成することが社会的インパクトを出すのに一番近道だろうと判断する。まだちょっとボヤってしているのでプロダクトビジョンを練る必要がある。

学ぶ必要がありそうなこと

  • 福祉領域の「専門性」とはなんぞ???
  • 「生きづらさ」is What ???
  • 佐方地区における課題は何なのか???

Next Action

  • 既存の地区福祉カルテを作成できるTool KitをPoCとして実装はじめる

  • 担当のSCにヒアリング機会を作る(そもそもどんな仕事をしていて、どんな期待値を持ってるの?)

  • 社協の担当者にヒアリング機会を作る(同上)
  • 市の担当課にヒアリング機会を作る(同上+αで地区福祉カルテ再考の進捗とオープンデータ化考慮について)

*1:普通地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより、執行機関の附属機関として自治紛争処理委員、審査会、審議会、調査会その他の調停、審査、諮問又は調査のための機関を置くことができる。ただし、政令で定める執行機関については、この限りでない。

*2:まちづくり交付金交付対象団体と合致している。廿日市市まちづくり交付金交付要綱第2条によると行政側の想定する地域自治組織は下記の通りとなる。

地区の生活や暮らしを守るため、地区で暮らす人々が中心となって形成され、ボランティア団体、NPO法人、学校、PTA、企業等の多様な主体と協力し、住民相互の親睦や地域課題の解決に取り組むために組織され、かつ主に活動する区域(以下「活動区域」という。)における世帯のうち、概ね60パーセント以上の世帯が当該地域自治組織に加入している