Code for Hatsukaichi としてパブリックコメントを提出しました

概要

  • 意見提出対象:第6次廿日市総合計画後期基本計画(素案)

  • 提出先:廿日市市 経営企画部 経営政策課 (提出は所定のWordファイルに記入後PDFフォーマットにてメール送付)

  • 提出日時:2021/04/04

提出した意見

注記:本ブログ記事は提出したパブリックコメントの内容に加えて読者の便益のため脚注やコメントを付加しているため提出原稿ママとは異なる

パブリックコメントの対象とした内容

(2)デジタル社会への対応

政府は、社会のデジタル化を強力に進めるため、デジタル社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進する新たな司令塔としてデジタル庁(仮称)を令和3年9月に発足させる 「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を閣議決定しました。また、地方公共団体においては、住民に身近な行政サービスの手続きのオンライン化を加 速させることをはじめ、AI・RPAの活用による業務の効率化など、地方公共団体のデジタル化を進め、住民の利便性向上と行政の効率化を図るとともに、デジタル化に当たっては、地方創生をはじめとした地域の諸課題の解決に資することが求められています。 本市においても、デジタル化を進めた先を見据えながら、各分野におけるデジタル化、デジタル人材の育成・確保などを計画的に推進していく必要があります。

今回対象にしたのは計画案p4のこの箇所になります。計画の具体案でICTが具体的に出てるのは教育行政のところだけで、あとの部分は言及はあるけどしっかりとはまだ考えられていないのが現状と言った感じ。

意見の概要

行政に対して具体的な5つの提案

  1. ソフトウェア(それに付随する調査業務含む)の発注時には必ずユーザー調査を求める

  2. ソフトウェア(それに付随する調査業務含む)の発注時には⾏政、事業者、市⺠が協働できる枠組みで進める

  3. ソフトウェア(それに付随する調査による成果物を含む)の著作権は市の所有となるよう発注する

  4. 公共の福祉を考慮し、廿⽇市市⺠の同意の下、これらのソフトウェア(それに付随する調査による成果物を含む)をオープンソースとすることも考慮する

  5. ソフトウェア(それに付随する調査業務を含む)の開発にオープンソースソフトウェアの活⽤ならびにそのコミュニティの協⼒を積極的に受け⼊れる

意見の概要なのに概要的な抽象性がないと感じたあなた。正解です。なんですが、ここは文字通りの「意見の概要」ではなくて、行政側が考慮しやすいように具体で書くことをお勧めします。(実際にとり入れられるられないはまた別な話ですが)中身に関してはだれが読んでもわかると思いますが、蛇足で解説を追加しておきます。最初の3つにソフトウェアを行政として発注する際に枠組みとして作っておくべき内容を記してあります。最後の2つが行政としてOSSの活用とOSSへの投資を取り組を進めることを求める内容を記してあります。

意見

提案・要望

デザインとICTの⼒を⽤いて、廿⽇市のまちづくりを推進するために活動するCode for Hatsukaichiとして、以下の内容を廿⽇市市に対して提案・要望いたします。

  1. 本市のソフトウェア活⽤においても「協働によるまちづくり基本条例」に基づいた施策を推進することを提案する。

  2. 本市におけるICT/ DX⼈材の不⾜を前提としながらも他の⾃治体に⾒られるスーパーシティ構想のようなトップダウン型での計画主義的なソフトウェア開発を志向しないことを市⺠として切に要望する。

  3. 本市がアナログとデジタルならびに⾏政と市⺠の協働先進都市として内外に認知されるよう基本計画ならびに施策の策定・実⾏を進めることを提案する。

先ほどの概要と違って、概要感があるけど、意見の本体になります。これだけ、書かれても?になると思うので以下に意見解説が追加されます。

意見解説

廿日市市のおかれた現状

(本市ならびに東京圏以外の都市の状態)

本市は、ICT、DXに関連する技能を有する(⽇本産業分類、中分類「39.情報サービス業」「40.インターネット付随サービス業」が該当)事業所ならびその業に従事する市⺠が少ないという現実がある。これらの事業所、⼈材は東京都ならびその周辺都市圏に集中している。他の都市(政令指定都市、中核都市など規模に関係なく)と廿⽇市市との間にこの点において差はない。都市規模(ほぼ⼈⼝と同義)を原資として中央政府から予算と特区等の特例を獲得し、東京圏の事業者にソフトウェア開発の実務をゆだねる戦略をとることは廿⽇市市の規模を考慮する限り現実的なものではない。なにより、⾏政、市⺠がともに共有している協働のまちづくりの理念・精神に照らし合わせて考えても妥当な策ではない。

皆さんご承知の悲しい現実がここにはあります。ただ、東京都(東京都市圏)とそれ以外の差がありすぎるので、その他の都市同士を比較するとむしろ都市規模による差がないに等しくなるのはむしろ利点と考えようとの提案です。これ、ホントにそう思うんだけど、なぜかスーパーシティ構想とかに飛びついて予算分捕り合戦を始める謎なジャパニーズスタイルにビビる(都市規模での殴り合いになるのになぜその戦略をとるのか??)。

提案・要望の論拠

(ソフトウェア開発の特徴<限界費⽤><OSS ><アジャイル開発><ユーザー中⼼>)

本市が、進めてきた協働によるまちづくりとソフトウェア開発は親和的であり、また他都市のスーパーシティ構想採択を⽬指す戦略よりも協働によるまちづくりを継続し、推進する⽅が市のマネージメントの観点からも市が⽬指す公共の福祉の観点からも有益である。昨今のソフトウェア開発は、オープンソースソフトウェア(OSS)の活⽤とそこへの貢献を前提として進められる。オープンソースならびにそのコミュニティのエコシステムのおかげでソフトウェア開発に必要な初期費⽤、限界費⽤は低く抑えられている。これらの特徴からソフトウェア開発は⼩規模に素早く⽴ち上げ進めることができる。この利点を活かして、実際にソフトウェアを利⽤するユーザーと頻繁に対話しながらソフトウェアを漸次的に改善する開発⼿法であるアジャイル開発が⽤いられるようになってきた。これらのことをふまえ、本市の「協働によるまちづくり基本条例」の制定過程から、それに基づいての⾏政、市⺠との協働をふりかえってみると、本市のまちづくりのカルチャーとOSS周辺のソフトウェア開発のカルチャーは親和的であるし、近似してもいる。(註;アジャイル開発に関しての詳細は政府CIOポータル内、標準ガイドライン群「アジャイル開発 実践ガイドブック」を参照)

早速公開されていた公文書をねじ込んだのですが、この辺、ソフトウェア開発に関わっている人には何を今更的な内容だと思うので、どういう意図でこれを書いたかを説明しておきます。廿日市市では9年前に自分たちで条例を制定して、それに基づいてまちづくりを行政と各種団体が一緒になっておこなっています。これだけだとどこにでもある話だし、特に特徴はないと私も思うのですが、自分自身廿日市に引っ越してきて暮らして8年ほどになりますが、ここに引っ越してきて暮らそうと感じた大きな要因が、自治活動がきちんとまた活発になされており地元の小規模事業者(飲食・小売り)もまだ元気に活動していたからです。自分たちで、自分たちの必要なことを小さなことでもコツコツ協力しながらオープンに進めていくのってOSS界隈では当たり前だよねという共感と自分がユーザーとして利益を得ていたコミュニティが困っていてそのissueを自分のスキルで解決できそうならコントリビューションするよね当然、というお気持ちで私はCode for Hatsukaichiの活動を開始しました。あとは、今回パブリックコメントを提出した計画にしてもまちづくり計画案に関しても所謂ICT活用とDX推進の懸念というか遅れに対しての不安感がひしひしと感じられたので、今までの在り方、やってきたことの枠がICT活用だとかDXでも十分使える旨を伝えたくてこの内容を書いた形になります。

市のマネージメントの観点から、近年各地の⾃治体でみられる⾸⻑のトップダウン+事業者の描く技術ドリブンな計画主義的なスマートシティーが本市に適さない理由を説明する。まず、第⼀にはこのような計画主導、技術主導のあり⽅は本市が⻑年続けてきた協働によるまちづくりとの⼀貫性、連続性を有していない。先だって策定、公表された「第3期廿⽇市市協働によるまちづくり推進計画」においても、また本計画「第6次廿⽇市市総合計画」においてもICTの活⽤推進等が随所に新規でみられるが、実際にまちづくりに参加する市⺠、⾏政職員からみてこれらの視点や施策、課題が唐突な異物として認識されているのではないかと懸念する。また、これらICT活⽤やDX推進の遅れや不安により⾏政当局が計画・施策の実⾏を企図しているのであれば、⼀度⽴ち⽌まって欲しい。先ほど説明したように、まちづくりが市⺠との対話と協働を基本とするようにソフトウェア開発もユーザーとの対話と協働を基本としている。それが営利のものであれ、⾮営利なものであれユーザーと対話しない、協働しないソフトウェア開発は必ず失敗する。第⼆に、今までの協働によるまちづくり⾃体、活動に参加する⼈、活動を経年で積み上げることにより発⽣する⽂化というリソースを計画主導、技術主導では活かすことができない。⽂化は時間と実際に⼿を動かすに⾄った⼈の意思の集積であって、予算を中央政府から兆単位で得ることができたとしても買うことができない貴重で希少なリソースである。このリソースを活かさすことのできない技術施策、ソフトウェア開発は市のマネージメントの観点からもおこなうべきではない。第三に、トップダウン式の計画主義と特定の事業者(ベンダー)のみに依拠した技術主導でプロジェクトを進めた場合、貢献しようとする善意の開発者をみつけることが困難になる恐れが⾼い。この点については、中央政府⾃⾝がアンチパターンを⽰しているので論を待たない。(例; 新型コロナウイルス接触確認アプリ)

お気持ち的には、競合他社がVCに媚び媚のプレゼンして追加の増資を受けるために奔走しているのを見て不安になってるCEOに、マネージの主導権とか、大事な組織カルチャーとか、今まで貢献してくれた古株の従業員とか、昔からの顧客とか、あと、そもそもお前の目指してるものとか、捨てちゃいけない、取り戻せないものってあるよーと言ってる感じ。ちなみに今回、各自治体のスーパーシティ構想に関しての資料とかもざーっと追える範囲で追ったのですが、なんというかその土地の積み上げた来歴とかがわからないので個別具体の言及はさけるけど、マジで大丈夫?ってかなりなってしまった。

あと、COCOAに関しては、中央政府が率先してアンチパターンを提示してくれたと思えば意義深かったのでは?と言う感想を今回パブリックコメントを書きながら抱きました。

具体的施策の例示

(まちづくり活動と⾏政の⽀援策の例⽰)

廿⽇市に最も不⾜しているのは協働によるまちづくりを通して廿⽇市に貢献(コントリビューション)をしたいと考える開発者である。不⾜している⼈材を2側⾯から捉えることができる。

  • すでに廿⽇市のまちづくりに参加している、ないしは参加する意思がありその課題がソフトウェアで解決しうると考えているにも関わらず、そのスキルが今現在ない⼈

  • すでになんらかのソフトウェア開発(デザインやユーザー調査などのスキル含む)技術を有しているが、廿⽇市のまちづくりに参加していない⼈(廿⽇市のまちづくりを認知していない層を含む)

以上をふまえて活動の3つのステップを例⽰する。

1. プログラミングやデザイン技能を仮にいま持っていなくてもやれることを進める(⾏政はそのための⽀援と枠組みを整える)

例) まちづくりに実際に必要だと考えるアプリケーションはどんなものか、プログラミングができなくても紙に書き出してカタチにすることは可能、それをもとにユーザー調査を進めてアイディアをブラッシュアップする

2. 学びながら試しがら進める

例) ⾏政職員、まちづくり活動参加者、市⺠、学⽣、事業者(⾮ソフトウェア)⾃⾝がプログラミングやデザインのスキルを学びながら実際の課題に向き合う(⾏政はそのための補助⾦、スキルの提供をしてくれる団体等への協⼒要請を進める)

3. 協働によるまちづくりを進めるなかで⾒えてきた課題(issue)を広くオープンに公開して、デジタルの世界を経由して廿⽇市のまちづくりに参加してくれる⼈に提供する(⾏政はまちづくりの課題と成果をOSSとして提供するための同意形成、実際の手続きの整備を進める)

まずは、⾃分たちでできることを仮説検証として⼩さくはじめる。その過程と結果をオープンにしておく。試⾏錯誤で⾜らないものを学んで、漸次的に改善を進める。オープンにすることで協⼒者を得るタイミングが(おそらくかなり早いタイミング)くるので、協働を進めながらさらに学んで改善する。それを続けることで、市の内外、アナログ、デジタル双⽅からの協働者が増えることで廿⽇市⾃体の交流⼈⼝が増えることになる。この際に重要なのは、先ほど説明したようにまちづくりの内容をオープンにし、協働を広く求めていく姿勢とOSSのカルチャーに親和的な協働によるまちづくりのカルチャーを⽰し、廿⽇市に貢献してみようと思うファンを増やすことにある。

なんか、コピペのせいで読みにくいかもしれませんが、やれることからコツコツ始めよう!という提案と、それをオープンにして進めてれば必ず上手くいくよという楽観主義の提示が趣旨になる。

目標の例示

(2025 年時点での⽬標) 以上、5つの具体的な提案と3つの提案・要望をふまえて2025年時点での⽬標をあわせて提案する。

  1. 廿⽇市では⾏政から受けるソフトウェアを介したサービスについて市⺠がユーザーとしてフィードバックを返すことが当たり前になっている。

  2. 廿⽇市ではまちづくりを進めるための道具としてソフトウェアが検討されることが当たり前になっている。

  3. 廿⽇市市ではまちづくりに必要だと考えたソフトウェアを⾃分たちで作りはじめることが当たり前になっている。

仮にここで提案する内容に取り組むとして、計画の評価時点である2025年時点ではどうなの?ということで目標を提示してあります。

今回パブリックコメントを提出してみて

振り返り的な内容になるのですが、 これからどう具体的にCode for Hatsukaichiとしてまちづくりの協働に取り組んでいくかは頭を楽しく悩ます課題なのですが、なんか普通に上手くやれるし、イイ感じにできるのでは的な期待感しかない。